高校生のための論理思考トレーニング (ちくま新書)



高校生のための論理思考トレーニング (ちくま新書)
高校生のための論理思考トレーニング (ちくま新書)

商品カテゴリ:人文,思想,学習,考え方
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三角ロジックをツールにして思考トレーニングを

本書は、現代国語成立の歴史的、宗教的および文化的背景を紐解きつつ、英語との対比から「日本語による論理トレーニング」を目指した意欲的な一冊である。
空手道師範と予備校のカリスマ英語講師という二つの顔を併せ持つ著者が用いる道具立ては、三角ロジック。これはディーベートの基本で、主張(claim)、事実・根拠(data)、論拠(warrant)という三要素から成るロジックの基本構造だと言う。「もともと日本語には論理は存在しない」ということを大前提に、ロジカルそのものである英語を解釈する観点から現代文を逆照射することで、日本語の論理運用を鍛えるという主張は新鮮で理解しやすい。そして、論証責任を伴わない主張がただの放言であって、論議を阻害するばかりでなく、外国人には如何に無責任に感じられるかが身に凍みてよく理解できる構成となっている。

クレーム、データ、ワラントの三角形

クレーム(論証責任)、データ(事実)、ワラント(データを挙げる根拠)の三角形による筆者のロジックの説明に関しては有益であると思う。
一方で、気になる点も挙げておく。「日本人のコミュニケーションはテレパシー」(pp.19-21)においては、日本語では「音が丸聞こえだ」「プリントが足りません」というように非明示的に言い、英語では「音を下げてくださいますか?」「プリントを○枚ください」というように明示的に言うとされている。筆者は、日本語と英語の「心の習慣(=ロジック)」は違うと主張するのであるが、英語でも、非明示的に表現することもある(Do you know what time it is?でそろそろ帰る時間であることをほのめかすなど)。そのあたりは、『関連性理論』などで研究がされている。また、日本人のコミュニケーションが英語化しているという主張の根拠として、「コンピューターのキーボードを打つ」ことで、「日本語を文章化する前に、いったんアルファベットに置き換えているわけで、その思考が英語化するのは当然である」(p.35)ということが述べられている。しかし、表音文字の平仮名、片仮名を使っている日本人が、同じく表音文字のアルファベットを使うことによって、なぜ「英語化」することになるのか不明である。
実に読ませる新書である!!

なんといっても、新書でコンパクトにまとめられているところが良い!!
論理思考は、一見難しそうな感じがするが、それは杞憂に終わった。
読み進むうちに、実に面白いということがはっきりと分かったからである。

ディベートというものの本質がとっても分かりやすく書かれているのも興味深い。
著者は、ディベートで有名な語学系の大学に受かったという凄腕の持ち主だ。
そんな著者の生の体験をもとに、著者が感じた疑問を解明しようとしてくれるのだ。

日本語は実にやっかいで、英語は実に明瞭だ。
日本語には、独特の含みというものがあり、その含みを汲み取って初めて交際が成立する。
しかし、英語には日本語独特の厄介な含みというものは存在しないという。
例えば、他人に何かをプレゼントする場合、日本では必ず「つまらないものですが・・・」と言う。
だが英語で外国人に「つまらないものですが・・・」と言ったら「じゃあ、結構です」と拒否される。
これは興味深い話だなぁと個人的に思いました。
日本人は良かろうと思ってしたことが、外国人には最低の印象を与えてしまうなんて・・・

本書には、最後にロジックを使って実際問題を解く章まで設けてあり、実践の力が付くのも嬉しい。
ぜひ、オススメしたい1冊です。



トゥールミン・モデルの入門書としても

Claim、Data、Warrantの3要素で議論分析するいわゆるトゥールミン・モデルを実践的な思考ツールとしてわかりやすく伝授。
特に、Warrantが次のパラグラフのClaimとなって議論を転がしてゆく機能を正しく指摘・解説している点は、巷のディベート本と一線を画す。
同著者の実況中継シリーズで演習を積めば、大学受験でも強力な武器となるだろう。
大学入学以降、さら発展的に学習してみたい人は、英語Wikipediaの"Stephen Toulmin"のページを手がかりにしてほしい。
邦語文献としては足立幸男「議論の論理―民主主義と議論」を薦める。
まさに目からウロコの連続!!!

「論理とは何か?」をあらためて世に問い、論理ブームに仕切り直しを仕掛けた快作。
日本語と論理の本質に迫ろうとする前段はなかなか圧巻だし刺激的だ。
第4章以降はトレーニングパートで、方法論の解説が大変わかりやすい。
読み物としての配慮が窺えるので、マスターするにはロジカル・ディベート練習帳のようなものがあっても面白いのではないか。
とにかく高校生にとっては、受験という枠を超えて知的興奮の連続を約束しますよ。
教養書として社会人が読んでも十分読み応えありなので、タイトルを「高校生のための?」と敢えて決め打ちせずともよかったかな、とも思いました。




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